ニキビができやすい方にとって、ニキビ薬はお守り的な存在ですよね。
でも、ニキビに効くかどうか分からない薬を使っていたり、以前ニキビ以外で処方された薬をなんとなく使っている、そんな方は注意が必要。
すべての薬がニキビに効くとは限らず、それどころか悪化を招く可能性もあります。
そこで今回は、ネット上で「炎症ニキビが治った!」と噂のあるリンデロンVGについて詳しく説明します。
目次
リンデロンVGとは
ステロイド+抗生物質の外用剤
リンデロンVGとは、炎症を抑える合成副腎皮質ホルモンと抗菌作用のある抗生物質を配合した皮膚外用剤です。塩野義製薬株式会社が製造販売元であり、軟膏・クリーム・ローションタイプがあります。
リンデロンには、VG以外にも「リンデロンDP」「リンデロンV」「リンデロンA」といった種類があります。
すべて「リンデロン」という名前がついていますが、それぞれ成分や用途、ステロイドの強さなどが異なります。
リンデロンVGの成分
リンデロンVGの成分は、ベタメタゾン吉草酸エステル(合成副腎皮質ホルモン)、ゲンタマイシン硫酸塩(アミノグリコシド系抗生物質)。
ステロイド外用剤の作用の強さにはランクがあり、弱い方から「ウィーク」「ミディアム」「ストロング」「ベリーストロング」「ストロンゲスト」となりますが、ベタメタゾン吉草酸エステルはこのうちのストロングに分類されます。
ベタメタゾン吉草酸エステルは優れた局所抗炎症作用を示し、ゲンタマイシン硫酸塩は幅広い抗菌スペクトルを有し、黄色ブドウ球菌に対して強い抗菌力を示します。
リンデロンVGと、DP・V・Aの成分の違いについても説明します。
リンデロンDP
リンデロンDPの成分は、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル。リンデロンVGに含まれるベタメタゾン吉草酸エステルよりも強いベリーストロングに分類されます。
リンデロンV
リンデロンVの成分は、VGと同じベタメタゾン吉草酸エステル。リンデロンVとVGの違いは、抗生物質が配合されているかどうかになります。
リンデロンA
眼・耳科用であるリンデロンAには、炎症を抑えるベタメタゾンリン酸エステルナトリウム(合成副腎皮質ホルモン)と、抗菌作用のあるフラジオマイシン硫酸塩(アミノグリコシド系抗生物質)を配合しています。
リンデロンVGの副作用や注意点
次のような方はリンデロンVGを使用しないでください。リンデロンVGの添付文書より引用します。
1.ゲンタマイシン耐性菌又は非感性菌による皮膚感染のある場合[皮膚感染が増悪するおそれがある。]
2.真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症及び動物性皮膚疾患(疥癬,けじらみ等)[これらの疾患が増悪するおそれがある。]
3.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
4.鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎[穿孔部位の治癒の遅延及び感染のおそれがある。]
5.潰瘍(ベーチェット病は除く),第 2 度深在性以上の熱傷・凍傷[皮膚の再生が抑制され,治癒が遅延するおそれがある。]
6.ストレプトマイシン,カナマイシン,ゲンタマイシン,フラジオマイシン等のアミノグリコシド系抗生物質又はバシトラシンに対し過敏症の既往歴のある患者
引用元: リンデロン-VG軟膏添付文書
副作用
リンデロンVGの主な副作用には、皮膚の刺激感や潮紅、接触性皮膚炎、発疹などがあります。
また、リンデロンVGを眼瞼皮膚に使用したり、大量または長期にわたって広範囲に使用した場合、眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障といった重大な副作用があらわれることがあります。
このような症状があらわれた場合は、医師または薬剤師に相談しましょう。
注意点
副作用の発生を防ぐために、長期連用や広範囲に大量に使用することは避けましょう。
症状が改善したら、できるだけ早く使用を中止しましょう。
感作(=アレルギー反応を起こしうる状態になっている)されたことを示す次のような兆候があらわれた場合は、使用を中止してください。
- そう痒
- 発赤
- 腫脹
- 丘疹
- 小水疱など
リンデロンVGはニキビやニキビ跡に効く?潰れたニキビへの効果は?
ネット上では、「リンデロンVGはニキビに効く!」という噂がありますが実際はどうなのでしょうか?製造販売元である塩野義製薬株式会社に質問してみました。
ニキビへの効果は期待できない
「リンデロンVGはニキビに効果ありますか?効果がない場合、悪化する可能性はありますか?」と質問したところ、
「ニキビはアクネ菌の増殖による炎症だといわれているため、リンデロンVGのようなステロイドを使用すると悪化する可能性があります。」との回答をいただきました。
ステロイド剤を長期使用した場合にあらわれる副作用の1つにニキビがあります。ステロイド剤の免疫抑制作用によって抵抗力が低下することや、皮脂分泌を促進することによってニキビができやすくなると考えられています。
ステロイド剤は一時的に炎症を抑える効果はあっても、ニキビを根本から治すことはできません。特に、顔面は皮膚が薄いため薬剤の影響を受けやすく、他の部位よりもリスクが高くなります。
リンデロンのような医療用医薬品は、医師の指示に従って使用するのが基本です。自己判断で使用すると副作用があらわれたり、症状の悪化を招くこともあります。
リンデロンVGはニキビだけでなく、ニキビ跡にも効果はありません。潰れたニキビに対しても自己判断で使用せず、皮膚科を受診することをおすすめします。
やはりニキビにはニキビ治療薬を使用するほうが安心で、効果も期待できるといえるでしょう。
リンデロンVGはどのような症状に効くの?
細菌感染をともなった湿疹や皮膚炎など
リンデロンVGはステロイドに抗生物質を配合した外用剤なので、炎症を抑えるだけでなく、二次的に併発する細菌感染にも効果を発揮します。
リンデロンVGの効果・効能について、添付文書では次のように記載されています。
<適応菌種>
ゲンタマイシン感性菌
<適応症>
○ 湿潤,びらん,結痂を伴うか,又は二次感染を併発している次の
疾患:
湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症,脂漏性皮膚炎を含む),乾
癬,掌蹠膿疱症
○ 外傷・熱傷及び手術創等の二次感染引用元: リンデロン-VG軟膏添付文書
リンデロンVGの正しい使い方
1日の使用回数と適量を必ず守る
リンデロンVGは、通常1日1~数回適量を塗布します。症状によって適宜増減されるため、必ず医師の指示に従ってください。

ステロイドは正しく使えば怖い薬ではありません。
1日の使用回数、使用量、使用期間をしっかり守り、副作用や注意点についても理解したうえで使用しましょう。
まとめ
ステロイド外用剤の強さにはランクがあるため、塗る場所によって使い分ける必要があります。以前処方されたリンデロンを勝手に顔に塗ったり、自己判断でニキビに使用するのはNG。
ニキビに悩んでいる方は、皮膚科を受診して症状に合った薬を処方してもらいましょう。時間がない場合は市販のニキビ治療薬を使用し、正しくケアすることが大切です。
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